失敗例を知り尽くした
プロの図面バカが教える

ハウスメーカーや工務店からもらった図面を、ちゃんとチェックしていますか?
間取りをサクッと確認するくらいで終わらせていませんか?
残念ながら……、

図面のチェックは、それだけでは全然足りません!
図面には間取りだけでなく、重要な情報が他にもたくさん。
というか、大切な情報をすべて教えてくれるのが図面です。
でも。



素人だから、図面なんて見てもよくわからないよ



小さい文字やよくわからない記号だらけで、全然見る気にならない
このように、図面に抵抗感を持つ人が少なくありません。
さらには、



設計のことなんて、プロに任せておけば大丈夫だよ
こんなふうに考える人もいるでしょう。
たしかに、プロが行き届いた設計をするのがベストです。
でも、プロがよいと思うものを施主も同じように思うかというと、必ずしもそうではありません。
その家を実際に使う人でないと、最良の選択はできないのです。
しかも、住宅の設計はとんでもなく忙しいのが業界の常。


あれもこれも検討して施主が満足する家を設計したいと思うし、施主からたくさんのことを聞き出して最良の選択をしたいけれど、それをする時間がありません。
常に5~6件の案件をかかえ、土日には1日3件×2時間半の打ち合わせ……
もう、全然、時間がないのです。
だから、どうしても細かいところまで気をつかえず、いつも同じような設計しかできなくなりがち。
さらに、設計担当はピンキリです。
ベテランから、ミスだらけで現場からのクレームまみれになっているダメ設計までさまざま。




家ができあがってしまってから、「こうなるなんて、知らなかったの」と後悔する施主を、私は何度見てきたかわかりません。
だから、設計者に任せきりにせず、施主も図面を見ましょう。
素人にもわかることがたくさんありますから。
当記事では、最低限、これだけはチェックしてほしい25カ所をわかりやすく解説していきます。
さっそく図面を見てみよう
お手元に図面の準備はできましたか?
当記事では、以下の35坪2階建てプラン図面をベースに説明していきます。




私は2×4住宅の設計が得意なのでツーバイフォーで設計しましたが、在来工法でもパネル工法でも同じようにチェックが可能です。
また、ハウスメーカーによって、同じ内容でも描き方が異なることも。



でも、大丈夫
描いてある量や表現のしかたが違っても、描いてある内容はたいてい同じです。
ポイントさえつかめば、どんな図面でもチェックすることができますよ!
図面をチェックする前に、見やすく加工しよう
さっそく、図面のチェックを始めたいところですが、今のままの白黒図面だとちょっと見にくいので、少し見やすく加工していきましょう。



えーっ、面倒くさいな
と思う人もいるかと思いますが、5分あればできてしまうので、ぜひやってみてくださいね。
どうしても面倒くさい人は、以下のリンクから1つ目のチェック項目にジャンプしてください。
↓ ↓ ↓
完成図はこんな感じ
まずは、完成形を確認していきましょう。




どうですか?
先ほどの白黒図面と比べ、グッと見やすくなって、図面に対する抵抗感が弱まりませんか?
作業の様子はこんな感じ。
1、2階合わせても、5分かからずに完成しました。
私は図面をipadに取り込んで、プロクリエイトという有料アプリで加工しましたが、ペイントなどの無料アプリでも十分に対応できます。
パソコンやipadに取り込むのが手間だと感じるなら、手描きでもOK。
フリクションの色鉛筆やマーカーペンを使えば、間違えても気軽に消せます。
(消すときに、印刷した黒インクが少々にじみますが)
ポイントは適当に描くこと
図面に色をつけるときのポイントは、「こだわりすぎない」こと。
私の作った完成図面を見てもらうとわかりますが、ところどころ色が塗れていなかったりして、けっこう適当です。
目的は「きれいに色付けすること」ではなく、「見やすくすること」。
だから、ここは何色で塗るべき?とかも深く考える必要はありません。
図面が変更になる都度、色塗り&チェックをしてほしいので、あなたが面倒臭くないやりかたで楽しみながら塗ってくださいね。
では、色塗りを始めていきましょう。
①壁を塗る
まずは、壁になる部分を塗っていきます。




ハウスメーカーによっては、最初から塗りつぶしてあるところもありますね。
私は、真っ黒よりもグレーで塗ったほうがやわらかく見えるので好きですが、お好みでどうぞ。
これをするだけでも、かなり見やすい図面になります。
②収納を塗る
続いて、収納を塗りましょう。




私はピンク色で塗っています。
後で水廻りに別の色をつけるので、キッチンセットと洗面台は塗らないでおいてください。
③水廻りを塗る
水廻りに色を塗っていきます。




水廻りなので、私は水色を使っています。
④居室を塗る
居室に色を塗ります。
居室=人が長く滞在する空間のこと。




私は、洋室=ベージュ、和室=グリーンで塗っています。
⑤アクセント壁範囲を塗る
アクセントクロスや板張り、キッチンパネルなど、他の壁と違う材料で仕上げる壁の範囲を色付けします。




とくに注意しなければならない場所なので、私は目立つ赤で塗っています。
⑥人を描く
人を入れると、図面のサイズ感がわかりやすくなるので、ぜひ入れてみてください。




1/50の図面に人をいれる場合は、以下の寸法でどうぞ。
- 頭=直径20cmの円→直径4mmの円
- 体=幅50cmの楕円→幅1cmの楕円
これで図面の色塗りは完成です。
次からは、図面をチェックしていきましょう。
①収納量チェック
チェック項目1つ目は、収納量。
先ほどピンク色で塗った収納部分をチェックしていきます。
ただし、水廻りとして水色で塗ったキッチンセットや洗面台にも収納はできるので、そのあたりも頭に置いておいてください。
収納量のチェックは、以下の2通りで行います。
- 全体の収納量は足りるか
- 必要な場所に必要な収納があるか
①全体の収納量は足りるか
まず、家全体の収納量が足りるかを、ざっくりチェックしていきます。
戸建て住宅の場合、全体の床面積に対する収納量の目安は10~15%。
図面のなかに、ピンクの部分がどのくらいありそうかをざっくり確認してみてください。
みっちり計算してもいいですが、面倒なので、パッと見て「全体の1/10以上収納があるかな~」くらいの判断でも十分です。
ベース図面の収納量は、こんな感じ。




収納部分の面積≒15.5㎡/床面積115.93㎡
13.37%
まずまずの収納量ですね(^-^)
②必要な場所に必要な収納があるか
全体の収納量が足りていても、まだ油断はできません。
本当に重要なのは、この「必要な場所に必要な収納があるか」です。
たとえば、和室におひなさまを飾りたいとして、そこにおひなさまをしまっておける場所があるかどうか。


ベースプランでは和室に押入れを作っていないので、一番近い収納であるFCL(ファミリークローゼット)を使うことになりそう。
↓ ↓ ↓
でも、ここにはもっと頻繁に使うものを入れたい。
↓ ↓ ↓
そうはいっても、2階に収納すると、大きな荷物をもって階段を上り下りするのが苦痛だし、危ない。
↓ ↓ ↓
じゃあ、いっそ和室に吊り押入れを作るか。




↓ ↓ ↓
吊り押入れがあれば、来客用の布団も収納できて、一石二鳥。
……というようなことを、1つ1つ考えていきます。
②ただいま動線チェック
チェック項目2つ目は、ただいま動線。
帰宅時の動線がスムーズかどうかをチェックしていきます。
ベース図面で、子供の帰宅動線を確認していきましょう。


悪くなさそうですね。
③家事動線チェック
チェック項目3つ目は、家事動線。
日々の家事を思い浮かべながら、動線を確認していきます。
- 買い物帰り
- 洗濯
- ゴミ出し
ベース図面で1つずつ見ていきましょう。
①買い物帰り動線


玄関からキッチンまでの距離があるので、それなりの長さの動線になります。
横並びキッチンにした都合上、キッチンを回り込んでパントリーまで行かなければならないのも、ロストいえばロスですね。
これを解決したい場合は、以下のような配置が考えられます。




さらに動線を少なくしたいなら、「和室部分をキッチンにする」というプランも考えられますね。
どうでしょうか?
動線を優先して、他の間取りに変えたいと思いましたか?
それとも、動線が多少長くても、横並びキッチンのままがいいと思いましたか?
重要なのは、このようにきちんと検討すること。
- 動線が長くなることを承知の上で、横並びキッチンを採用する
- やっぱり動線が長いのは毎日キツイから、別のプランにする
メリットデメリットをしっかり理解したうえで、家づくりの選択をしてほしいのです。
②洗濯動線




どちらも、スムーズな動線で、使いやすそうですね。
③ゴミ出し動線


先ほどの買い物帰り動線で確認したとおり、玄関とキッチンの距離がわりとあるので、ゴミ出し動線もやっぱりそれなりに長くなります。
ただ、ゴミ出し動線を考える際は、ゴミ出し動線と言えば!のアイテムの検討を忘れないようにしてください。
それは……、



勝手口です
勝手口ドアをつけると収納量が減ったり、コストがかかったりというデメリットがありますが、それを超えるメリットがある場合は、採用する価値があります。
改めて、ベースプランを見てみましょう。


このプランの場合、この位置に勝手口をつければキッチンの収納量は減らないし、ゴミ置き場までも激近くなるので、メリットはかなり大きいことがわかりますね。
④窓情報をくまなくチェック
チェック項目4つ目は、窓情報。
窓には、チェックする項目がたくさんあります。
- サッシの種類
- 開閉方法
- サイズ
- 取り付け高さ
- サッシ内外の色
- ガラスの種類
- 網戸の種類
- ハンドルの種類
- 室内枠の形状
- 室内枠の色
これらすべてが平面図に記載されているわけではないので、足りない情報は仕上げ表を確認するなり、設計担当に聞いてみるなりして、必ず確認しておいてくださいね。
ベース図面の記号をもとに記号の見かたを説明しますが、図面への表記方法は、ハウスメーカーによってまちまちです。
自分の図面を見て、「これは何を意味するのだろう?」という表記があれば、これも設計担当に確認しましょう。


この窓記号を上から順に見て見ていきます。
RH=2095
RHはサッシの取り付け高さを示します。


床からサッシ上端までの距離。
厳密に言うと、RHは構造材間の距離なので、床仕上げ~窓枠までの高さは2,095mmよりも少し小さくなります。
このあたりはちょっと専門的な話になるので、ざっくり見ておくくらいでOK。
隣に並ぶサッシと微妙にRHが違うとか、妙に高すぎるなどがないかをチェックしましょう。
内部枠
内部枠とは室内に取り付けられる窓枠のこと。




いろんなおさめ方があるので、どんな枠を採用するかが図面に記載されています。
窓枠の色も忘れずに確認してくださいね。
ちなみに、筆者が仕事をお請けしているハウスメーカーでは、このあたりの表記を完全に記号化しているので、施主が見てもよくわかりません。
もし、あなたの図面にも記号化されたよくわからない表記があれば、「この記号が何を指すのか」を設計担当に確認しましょう。
ちょっと面倒くさいかもしれませんが、窓枠のおさめ方や色は、設計と施主の間で行き違うことが頻繁にあるので、細心の注意を払ってほしいところです。
シングルハング – 0713
どんなサッシで、どんなサイズかを示しています。
シングルハングとは、こんなサッシ。


片上げ下げ窓ともいいます。
下の障子だけが上下し、上の障子はFIX(はめ殺し)。
(ちなみに、上下の障子が上下するサッシをダブルハングといいます。)
0713は、ざっくり、700mm×1,300mmを指しますが、07が実は745mmだったり、13が1,245mmだったりと、数字通りに読み取れないケースも。


ですので、これも、他と比べて大きいか小さいかを判断するくらいにとどめるか、厳密な寸法を知りたい場合は、設計担当に確認するかという対応になると思います。
また、サッシサイズを示す記号には、06911というような5桁のものもあります。


これは、「窓枠の内側の幅=690mm」×「窓枠内側の高さ=1,100mm」を指しています。
内外色
サッシの色を記載しています。


ほとんどのサッシが、上画像のようにサッシの内と外で別の色を設定可能。
基本的に、サッシ外部の色はすべて同じにして、外観がチグハグにならないようにします。
サッシ内部の色は部屋のインテリアに合わせて変更しますが、あんまりいろんな色を使うと、やっぱりチグハグするので、1~2色くらいにするのがおすすめ。
クモリ
ガラスの種類を記載しています。


- 透明ガラス
- 型(くもり)ガラス
- 防犯ガラス
- ペアガラス
- トリプルガラス
- Low-Eガラス断熱タイプ
- Low-Eガラス遮熱タイプ
- ブラインドイン複層ガラス
- などなど
どんな種類のガラスが入るのか、よく確認してください。
Rh=850
Rhは、RH同様にサッシの取り付け高さを示します。


床からサッシ「下」端までの距離。
こちらも厳密に言うといろいろありますが、気にせずざっくり確認していきましょう。
ただし、窓の下に家具や家電などを置きたい場合は、床から窓枠下端までの距離を設計担当にしっかり確認するようにしてください。
⑤窓からの眺めをチェック
チェック項目5つ目は、窓からの眺め。
- 景色がいい
- ゴミ置き場などの見たくないものが見える
- 隣の家からの視線が気になる
- 道路からの視線が気になる
- など
家じゅうすべての窓をチェックしてくださいね。
以下のように描き込みを入れると、わかりやすいですよ。




⑥風の抜けをチェック
チェック項目6つ目は、風の抜け。
窓やドアの開き方を変えるだけで、風の抜けが全然違うのを知っていますか?
たとえば、ベース図面1階のトイレ窓。


窓と室内ドアを開けると、こんな感じで風が流れていきます。
でも、窓の開閉方向を逆にすると……、


風が壁や窓に当たって、うまく流れていきません。
風通しは家の快適性をめちゃくちゃ大きく左右するので、しっかりチェックしてくださいね。
ベース図面全体の風流れはこんな感じ。




⑦フローリングの張り方向をチェック
チェック項目7つ目は、フローリングの張り方向。




部屋ごとに方向を切り替えてもいいですが、床見切を入れずにつなげて張りたい場合は、同じ方向に張る必要があります。
たとえば、ベース図面2階の主寝室は、部屋単体で考えたら横方向に張ったほうがきれいです。


でも、こうすると廊下との堺に床見切が必要になるので、ベース図面では縦方向を選択しました。
あと、忘れがちなのが、ウッドデッキの張り方向。
別にウッドデッキと室内のフローリングの張り方向が違ってもおかしいわけではないですが、やっぱり揃っているほうがきれいなので、できるなら揃えたいところです。
とはいえ、室内がきれいに見えることが優先なので、バランスを見ながら決めてくださいね。
迷ったときは、設計担当にも相談してみてください。
繰り返しますが、重要なのは、きちんと検討すること。



フローリングの張り方向のことなど何も考えずに施工したら、ウッドデッキと向きが違うし、他の部屋とのバランスもよくなかった
このような「検討しなかった結果の後悔」が一番よくないのです。
⑧床材の張り方向はフローリング以外も忘れずにチェック
チェック項目8つ目は、フローリング以外の床材の張り方向。
方向性のあるフロアシートや、フロアタイルなどです。




とくに、トイレをフロアシートで施工する場合は、指示をしない限り、短手方向に張られてしまうので注意が必要。



私も新人の頃、フローリング柄のフロアシートを短手方向に施工されてしまい、やり直してもらったことがあります……
施工した後に、「こちらの方向で張ってほしかったのに」と言っても、張りなおしてくれるハウスメーカーはほとんどないので、施主も気を付けてくださいね。
⑨床見切チェック
チェック項目9つ目は、床見切。


- フローリングの張り方向が変わる場所の堺
- 異なる床材を張る場所の堺
このような場所には、床見切(段差のない敷居のようなもの)が入ります。
この床見切には、いろんな材質やサイズのものがあるので、どんなものが入るのか、しっかり確認しておいてくださいね。









金属製のスタイリッシュな床見切が入ると思っていたのに、プラスチックの安っぽいものが施工されていた( ノД`)
こんな悲しい事例もあるので、注意しましょう。
⑩天井材の張り方向も忘れずにチェック
チェック項目10個目は、天井材の張り方向。


フローリング同様に、方向性のある天井材(板張りなど)も、張り方向を指示する必要があります。


設計者もうっかり忘れることが多い項目なので、できあがってしまってから、



あっ、こっちの方向で張ってしまったんだ……
という現場が少なくありません。
注意してくださいね。
⑪アクセント壁を台無しにするアイテムのチェック
チェック項目11個目は、アクセント壁につくアイテム。




アクセント壁は、人の目を引く「カッコいい壁」です。
そこに、エアコンとか給気口などがつくと、かなり残念なことになりますよ。


平面図だけでなく、電気図もくまなくチェックしましょう。
設計者に「このアクセント壁になにか取り付けるものはありますか?」と確認しておくと、さらに安心です。
ちなみに、新人設計がアクセント壁に給気口などをつけてしまう失敗は、本当にあるあるなので気を付けてくださいね。
それと、壁つながりでもう1つありました。
「キッチンパネル範囲」も忘れずにチェックしてください。
「この範囲までパネルを張ってくれていたら、壁に油汚れがつかないないで済んだのに」と悔やむ施主が、結構たくさんいます。
⑫下がり壁チェック
チェック項目12個目は、下がり壁。




下がり壁は、図面に点線で表記されます。
「平らな天井が施工されると思っていたら、下がり壁があった」などの声をよく耳にしますよ。
ただ、下がり壁のほとんどが、梁などの都合で「仕方なく」つけているもの。
なくそうとすると、他の部分の設計にしわ寄せがいったり、必要以上の費用がかかったりすることがあります。
⑬下がり天井チェック
チェック項目13個目は、下がり天井。


下がり天井は、図面に斜線で表記されます。
下がり壁と似ていますが、違いは以下。
- 下がり壁→天井が壁厚分下がって、また上がる
- 下がり天井→下がりっぱなし
下がったり上がったりする下がり壁がうるさく感じる場合は、下がり天井にしてしまうこともあります。
平面図(上から見た図面)と展開図(横から見た図面)で比較してみましょう。


↓ ↓ ↓


上階の配管や、換気扇や全館空調などのダクトを通す部分を下がり天井にすることが多いですが、必要な部分だけを下がり天井にするとデザイン的に美しくない場合には、連続して下がり天井にすることも。
たとえば、ベース図面のDKは、ダクトが通る部分だけを下がり天井にすれば施工可能ですが、それだと美しくないので、壁から壁までの間をガッツリと下げています。




⑭収納上部のおさまりチェック
チェック項目14個目は、収納上部のおさまり。
収納上部のおさめ方は以下の3通りがあります。






どのおさめかたをするかで、かなり見た目が異なりませんか?
あなたの図面がどのおさまりになっているか、しっかりチェックしてくださいね。
記載がない場合は、現場判断で勝手に施工されてしまうので、キッチリ指定しましょう。
ちなみに、私はほこりがたまりにくく、高級感が出やすい「壁組」が好きです。
⑮エアコン直撃のチェック
チェック項目15個目は、エアコン直撃。
とくに、ベッドとエアコンの位置関係に注意が必要です。


最悪なのが上図のような枕元の真上にあるエアコンで、暖房時も、冷房時も、空気の流れ的によろしくありません。
エアコンの風向を変えても限界があるので、できることなら避けたいところです。
どうしても、位置的に枕元直上しかつける場所がない場合は、外壁面にこだわらず取り付けが可能な「隠ぺい配管」を検討してもいいかもしれません。
ただし、隠ぺい配管は初回取り付け時も、交換時も割高です。
ベース図面は、すべて隠ぺい配管を使わずに枕元直上を回避しています。


⑯窓まわりアイテムのスペースチェック
チェック項目16個目は、窓まわりアイテムを取り付けるためのスペース。
窓廻りアイテムとは、カーテンレールやブラインドなどです。
たとえばこんなカーテンレールを付ける想定で、以下の図面を見てください。






カーテンレールの両側につくはずの飾りを1つカットして取り付けざるを得ないので、かなり残念なことになります。
ちなみに、実際にそうなってしまっている残念な現場を、私は何度も目撃してきました。
設計担当とインテリアコーディネーターが別の場合は、とくにありがちな失敗なので、施主も目を光らせてチェックしてくださいね。
⑰床下収納庫と点検口のチェック
チェック項目17個目は、床下収納庫と点検口。


床下収納庫や点検口には、以下の欠点があります。
- 上に乗ると「ギィー」という音がする
- 段差ができる
ですので、あんまりにも頻繁に通る場所や、家具を配置したい場所に設置するのは避けましょう。
それと、床に穴をあけて取り付ける都合上、床下の寒さが足元に伝わりやすいという欠点も。
必ず、断熱タイプの商品を採用してくださいね。
⑱転落必至階段かどうかのチェック
チェック項目19個目は、階段。
階段でもっとも危険な場所はどこだと思いますか?
答えは、曲がり部分。






本当に危険です。
公庫バリアフリー基準では、以下3つの曲がり部分しか「ヨシ!」としていません。


ちなみに、建築基準法にはゆるい規制しかないので、かなり危険な階段形状で施工されている現場がたくさんあります。
ただ、階段から落ちたことがある施主は思いのほか多く、私がリフォームを設計した施主に聞いてみると、8割以上の人が落ちたことがあるそう。
スペースを節約したい気持ちはよくわかりますが、家づくりでもっとも重視しなければならないのは「安全」。
階段で面積を節約するのは、やめましょう。
⑲室内建具のサイズチェック
チェック項目19個目は、室内建具のサイズ。


記号で描かれていることが多いので、詳細は設計担当に確認が必要です。
上の図面では、建具の種類(ドはドアのこと)、0721はW700×H2,100に近い寸法だということを指しています。
これは、ハウスメーカーによって、描き方が全然違います。
まず、建具の高さについて。
最近では、天井高の高い家の増加とともに、背の高い室内建具が増えてきています。
2,400mmの天井でも、昔は1,800mmくらいの高さの建具が主流でしたが、今は2,000mm以上のものが主流。
さらには、ほぼ天井高の2,300~2,400mmの建具を使うこともあります。


ちなみに、私は天井高ギリギリの建具をあまりおすすめしていません。
なぜなら、木造の住宅は動くから。
天井や壁の水平垂直は、長い年月の間に必ず狂います。
そのとき、少しの逃げもない天井高ギリギリの建具には荷重がかかりやすく、枠や建具本体が反りやすいのです。
天井高-50~100mmくらいの建具高さが限界だと思っています。
それと、見落としがちなのが収納扉の高さ。
天井高2,400mmの収納に
- 高さ≒2,000mmの扉
- 高さ≒2,350mmの扉
この2つは、使い勝手が大きく異なります。
高さ≒2,000の扉を使用した収納断面


高さ≒2,339の扉を使用した収納断面





扉の高さによって、内部棚の使いやすい高さも変わるよ!
もちろん、使いやすいのは後者ですが、コストを下げるために低い建具で設計することも。
また、梁が入るなどして構造的に背の高い建具がつけられない場合も多々あります。
私の独断にはなりますが、コスト的な都合で収納に背の低い建具しかつけられないのであれば、いっそ、扉なしを検討するのもアリ。
(玄関から見える場所や、リビングやダイニングなどから見える場所は、やっぱり扉ありがいいですが)
そして、高さだけでなく、幅も重要です。
とくに、確認してほしいのが、有効開口幅。
たとえば、ランドリーに運びこむ予定の洗濯機幅が650mmあるとして、有効開口幅はそれ以上あるのかというチェックが必要です。


⑳家具のサイズチェック
チェック項目20個目は、家具のサイズ。
ベース図面にもいくつか家具を描きこんでありますが、あなたの図面にも家具が描いてありませんか?
それを見て、「あぁ、ここにこの家具が置けるんだな」と鵜呑みにしないでください。
たとえば、主寝室にシングルベッドが2台描いてあるからといって、「ベッドが2台置けるんだ」と思い込まないでほしいのです。


何を言っているんだ?と思いますよね。
図面に描いてある家具のサイズは、「設計者が勝手に決めた」もの。
あなたが実際に部屋に置きたい家具のサイズとは、必ずしも一致しません。
ベースプランの例でいえば、私はシングルベッドをすべてL2,000×W1,000で描いています。
他の設計者もそのサイズで描くことが多いはず。
でも、2mよりも長いベッドは世の中にたくさんあるし、ヘッドボードに収納がついたものなら、間違いなく図面の表記通りにはいきません。
だから、1つ1つの家具サイズを確認してほしいのです。
図面に描いてある家具のサイズがどれくらいで、あなたが欲しい家具がどれくらいなのかをしっかり確認しましょう。
家具だけでなく、冷蔵庫や洗濯機などの家電も忘れずに。
で、その作業に必須なのが、この三角スケール。
家づくりには絶対必要なアイテムなので必ず買ってほしいのですが、注意があります。
この三角スケールは住宅関係者だけでなく、土木関係者、土地家屋調査士など、図面を扱う多くの職種の人が使います。
ですので、いろんな縮尺のものが売っていて、間違ったものを買うと、まったく役に立ちません。
作図するハウスメーカーや工務店によって縮尺は異なりますが、ほとんどの場合、住宅の図面は1/50や1/100で描かれています。
あと、A2で作図して、施主にはA3に縮小コピーしたものを渡すというハウスメーカーも多いです。
ということで、もし私が買うならこちらの三角スケールになるので、リンクを張っておきます。
でも、家が大きすぎるなどの理由で1/60で描かれていたり、A2→A4に縮小コピーされていたりする場合は、上のスケールでは測れません。
手元の図面の縮尺をよく確認してから買ってくださいね。
㉑タイル割のチェック
チェック項目21個目は、タイル割。




タイル割とは言葉通り、タイルの割り付けのこと。
1/50や1/100の図面では細かくなりすぎるので、別に1/20や1/30の図面を用意してくれる設計者もいます。
このタイル割でチェックするところは、ただ1つ。
やたらに細かったり、小さなタイルができていないかどうかを見てください。
たとえば、30cmの正方形タイルを張るとして、5cmを切るような細いタイルが端部にある場合は、タイル割がうまくいっていない可能性が大です。
小さく切り欠いたタイルは施工が大変なだけでなく、割れやすくはがれやすい、さらに見た目も美しくなく、いいところがありません。
ただ、タイル割をきちんと検討している図面の場合は、変なタイル割をしていることはほとんどないと思います。
問題は、タイル割の検討をせず、適当に目地線を入れているだけのケース。
その場合は、やたらに小さなタイルが図面上に見つかるはずなので、「タイル割はどうなっていますか?」「タイル割図面をください」と、確認しておくと安心です。
㉒外部の目立つ面に悪目立ちアイテムがないかチェック
チェック項目22個目は、外部の悪目立ちアイテム。


ここまでは家の内部を見てきましたが、ここからは外部をチェックしていきます。
まず、道路などから家を見て、目立つ面がどこかを確認。
道路面はもちろんですが、「高台にあるので、道路面だけでなく他の面も目立つ」というようなケースもあるかと思います。
ベース図面の場合は、道路に面した東面(玄関のある面)が目立つ面です。




目立つ面に、給気口や換気扇などはありませんか?
ある場合は、こんな外部フードが、外壁に取り付けられることになります。


それと、電気メーターやガスメーター。
どうしても、その面にしかつけられない場合は仕方ないですが、他の方向に変更できるのなら、そうしましょう。



そんなこと、設計者が配慮してくれないの?
このように思うかもしれませんが、私も新人のころによくやってしまい、引き渡しのときに「あーーー」とこっそり後悔したことが何度かあります。
それくらい、設計者がやらかしてしまうポイントだったりするので……、施主も気を付けてください。
㉓エアコンの室外機をチェック
チェック項目23個目は、エアコンの室外機。


ポイントは2つあります。
- できるだけ、目立つ面には置かない
- 人が長く居る場所(とくに、ベッド)の近くに置かない
目立つ面に置かないというのは、美観上の話です。
どうしても、目立つ面にしか置けないのなら仕方ないですが、別の面に置けるかどうかも検討してみてください。
それと、人が長く居る場所の近く、とくにベッドの近くに室外機を置くのはおすすめできません。
室外機は音がうるさい上、冷房時には熱風、暖房時には冷風と、常に不快な温度の風を吹き出しています。
機密性能の高い窓を使っていたとしても、やっぱり影響があるので、できるだけベッドからは離して設置するようにしてくださいね。
㉔来客からの視線をチェック
チェック項目24個目は、来客からの視線。
玄関を開けたときに、見えるものをチェックします。


できるだけ、トイレのドアや洗面台は見えないようにしたいもの。
玄関で来客を対応している時に、別の家族がトイレから出てきたりすると、お互いに気まずいですよね。


㉕ドロボウチェック
チェック項目、最後の25個目は、ドロボウ。
地域にもよりますが、ドロボウの被害は結構多いんです。




とくに、2階の窓にはシャッターをつけずに、なんなら窓を開けて寝る人も。
バルコニーまでたどり着かれたら、あとは簡単に家に入られてしまいますよ。
25項目をおさらい
かなり長くなりましたが、これで25項目のチェックが終わりました。
改めて、25個を並べてみますね。
- 収納量チェック
- ただいま動線チェック
- 家事動線チェック
- 窓情報をくまなくチェック
- 窓からの眺めをチェック
- 風の抜けをチェック
- フローリングの張り方向をチェック
- 床材の張り方向はフローリング以外も忘れずにチェック
- 床見切チェック
- 天井材の張り方向も忘れずにチェック
- アクセント壁を台無しにするアイテムのチェック
- 下がり壁チェック
- 下がり天井チェック
- 収納上部のおさまりチェック
- エアコン直撃のチェック
- 窓まわりアイテムのスペースチェック
- 床下収納庫と点検口のチェック
- 転落必至階段かどうかのチェック
- 室内建具のサイズチェック
- 家具のサイズチェック
- タイル割のチェック
- 外部の目立つ面に悪目立ちアイテムがないかチェック
- エアコンの室外機をチェック
- 来客からの視線をチェック
- ドロボウチェック
あなたの図面はどうでしたか?
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参考図面&総2階プランをプレゼント
ここまでにベース図面として見てきた参考図面ですが、チェック項目で確認していくと、改めて結構いいプランだったなと思いませんか?



完全に自画自賛ですが(笑)
そこで、ですね。
今回使用したベースプランと、バリエーション違いの「総2階プラン」の図面をPDFでプレゼントしようと思います!
- ベースプラン→35坪
- 総2階プラン→42坪
総2階プランは、1階のプランがベースプランと同じで、2階をかなりゆったりした間取りにしたものです。



また自画自賛ですが、総2階プランも結構イイ!です
当記事の感想をアンケートに書いてくださった人限定で、2プランのPDFを送付します。
2分くらいで書けてしまうアンケートなので、記入してもらえるとすごくうれしいです。
アンケートURL
あなたの家づくりが成功しますように(^-^)
応援しています。