窓は、床からの高さによって部屋からの景色や家具配置を大きく左右します。
とはいえ、標準的な窓の取り付け高さや床からの高さを知らなければ、自分の家の窓について検討することは難しいもの。
まずは、標準の窓の高さや床からの高さを知り、そのうえで景色や家具を考慮しながら決めるのがおすすめです。
そもそも、窓は1つずつを好き勝手な高さに取り付けてしまうと、同じ部屋のなかにいろんな高さの窓ができ、統一感のない空間になります。

内部だけでなく、外部から家を見たときにもチグハグでバラバラな印象に。

ポイントは、窓の上のラインをそろえること。
そこから、窓の高さや床からの高さを考えていきます。


この記事では、引き違い窓や上げ下げ窓、たてすべり出し窓など、さまざまな窓の標準的な取り付け高さと、床からの高さを解説。
リフォーム設計を本業とする一級建築士が、わかりやすくたくさんの図を使いながら説明します。
さっそく引き違い窓の床からの高さについて解説する前に……

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窓の床からの高さ①引き違い腰窓の標準的な取り付け高さ
窓の標準的な取り付け高さと床からの高さ、1つ目は引き違いの腰窓。


先にお話したように、窓の高さは窓上のラインをそろえるのが基本です。
その「窓上のライン」を決める要素となるのが、床からの窓=掃き出し窓。


掃き出し窓の標準高さは、以下3種類です。
- 1,800mm
- 2,000mm
- 2,200mm
この中で、もっともよく採用されているのが、2,000mmの窓。
これに合わせて窓上のラインを2,000mmとするのが一番標準的です。





トイレや洗面、お風呂は窓上を1,800 mmにすることもあるよ
続いて、腰窓の標準的な高さと、窓上を2,000mmにしたときの床からの高さを見ていきましょう。
- 窓高さ900 mm→床からの高さは1,100mm
- 窓高さ1,100 mm→床からの高さは900mm


どちらの高さの腰窓もよく採用されますが、私は1,100mmのものを提案することが多め。
こども部屋の窓は床からの高さを高くとるなど、部屋によって変えてもOKです。
窓の床からの高さ②上げ下げ窓の標準的な取り付け高さ
窓の標準的な取り付け高さと床からの高さ、2つ目は上げ下げ窓。


上げ下げ窓の標準的な高さと、床からの高さを見ていきましょう。
よく採用されるのは、以下の組み合わせ。
- 700mm →窓上1,800 mm×床からの高さ1,100 mm
- 900mm→窓上1,800 mm×床からの高さ900 mm
- →窓上2,000 mm×床からの高さ1,100 mm
- 1,100mm →窓上2,000 mm ×床からの高さ900 mm
- 1,300mm →窓上2,000 mm×床からの高さ700 mm
どの高さの腰窓もよく採用されますが、私は以下の感じで提案することが多いです。
- 700mm→トイレ・洗面室(小さめの窓がお好みの場合)
- 900mm→トイレ・洗面室・お風呂
- 1,100 mm→リビングやダイニング、個室
- 1,300 mm→キッチンの通路部など光を多く取り込みたい場所
高さ1,100mmの上げ下げ窓を窓上ライン2,000mmに合わせて取り付けるとこんな感じになります。
↓ ↓ ↓


床からの高さは、900mm。
窓高さが700mmや900mmのときは、窓上を1,800mmにすることも。


上げ下げ窓は窓の下部分を持って開け閉めするので、あんまりにも床からの高さが低いと、都度しゃがみこまなければならなくなります。
頻繁に開け閉めする場合は、開け閉めしやすさも考えて窓の高さを決めましょう。
窓の床からの高さ③たてすべり出し窓の標準的な取り付け高さ
窓の標準的な取り付け高さと床からの高さ、3つ目はたてすべり出し窓。


たてすべり出し窓の標準的な高さを見ていきましょう。
- 700mm
- 900mm
- 1,100 mm
- 1,300 mm
先ほどの上げ下げ窓と同じです。
ですので、使う部屋や取り付け高さと、床からの高さも同じように考えてOK。


ただ、たてすべり出し窓は、開閉方法によって操作高さが異なります。
- カムラッチハンドル→窓の中央高さくらいにハンドル


- オペレーターハンドル→窓の下部にハンドル


操作高さを確認したうえで、開閉のしやすさを考えた窓の高さにしましょう。
窓の床からの高さ④すべり出し窓の標準的な取り付け高さ
窓の標準的な取り付け高さと床からの高さ、4つ目はすべり出し窓。


すべり出し窓の標準的な高さを見ていきましょう。
- 300mm
- 500mm
- 700mm
他にもいろんな高さがありますが、このあたりの高さのものを窓上高さ2,300~1,800mmくらいに取り付けることが多いです。


すべり出し窓は高窓として使うことも多く、床からの高さが1,700~2,000mmくらいになることも。


高窓にする場合は窓の開閉がしにくくなるので、高所用オペレーターや、電動ユニットがついているものを採用します。




窓の床からの高さ⑤内倒し窓の標準的な取り付け高さ
窓の標準的な取り付け高さと床からの高さ、5つ目は内倒し窓。


内倒し窓の標準的な高さを見ていきましょう。
- 300mm
- 500mm
- 700mm
窓を開けると部屋の内側に倒れてくるので、床からの高さが低いとジャマになります。
とはいえ、開閉のための操作位置が窓上にあるので、高すぎるとフック棒が必要に。


これらの特徴をふまえた標準的な取り付け高さは、こんな感じ。
↓ ↓ ↓


手が届くギリギリを狙った高さです。
床からの高さは、1,300mm。
窓の床からの高さ⑥FIX窓の標準的な取り付け高さ
窓の標準的な取り付け高さと床からの高さ、6つ目はFIX窓。


FIX窓はさまざまなサイズのものをさまざまな高さに取り付けるため、標準的な高さはありません。
ただ、同じ部屋の中で他の窓と混在する場合は、やっぱり窓上のラインをそろえるのがキレイ。


床からの高さは床面ピッタリの0mm~高窓として使う2000mmくらいまで、さまざまです。
窓の床からの高さ⑦地窓の標準的な取り付け高さ
窓の標準的な取り付け高さと床からの高さ、7つ目は地窓について。
地窓とは床面に近い高さの窓のこと。


上の画像のように和室に使うことも多いし、玄関ホールや洋室に使うことも。
地窓は、ふつうの高さにつけると視線が気になったり、直射日光が厳しい場所によく採用されます。
他には、落ち着いた見た目を狙ってつけることも。
地窓の標準的な高さは、こんな感じです。
↓ ↓ ↓


床からの高さは、ほぼゼロに近いことがほとんどです。
地窓には、引き違い窓、FIX窓を使うことが多め。
窓の床からの高さ⑧高窓の標準的な取り付け高さ
窓の標準的な取り付け高さと床からの高さ、8つ目は高窓について。
高窓とは高い位置に取り付けた窓のこと。


高窓はハイサイドライトともいい、地窓同様、目線が気になる場所に採用されることが多め。
窓の下にガッツリ家具が置けるのも、高窓のメリットです。
高窓は、在来工法とツーバイフォー工法とで、標準的な高さが異なります。
在来工法における高窓の標準的な高さは、こんな感じ。
↓ ↓ ↓


天井スレスレ~100mm下がりくらいにつけることが多いです。
2×4工法における高窓の標準的な高さは、こんな感じ。
↓ ↓ ↓


2×4工法の場合は、窓の上部に構造材を入れる都合で天井-300mmくらいの高さが標準的です。
高窓は床からの高さがあるため、FIX以外の窓を採用する場合は、電動ユニットやフック棒を忘れないようにしましょう。
高窓には、FIX窓、内倒し窓、すべり出し窓を使うことが多め。
窓の高さと床からの高さで注意すること
ここまでに、いろいろな種類の窓の取り付け高さと床からの高さについてお話してきましたが、注意点が3つあります。
- 窓の高さ
- 窓の床からの高さ
- ハウスメーカーオリジナル高さ
窓の高さ
まず窓の高さですが、ここまでにお話ししてきた900mmとか1,100mmという高さは、窓枠の内側の寸法を指します。


厳密に言うと窓を窓枠に固定する金物の内寸なので、商品によっては5~10mmほど窓枠の内側寸法のほうが大きくなることも。
窓の床からの高さ
窓の床からの高さは、工法によって少し考え方が異なります。
- 在来工法→素直に、フローリングの上面からの高さ
- 2×4工法→フローリングの下面からの高さ


このあたりの話はちょっと専門的になりすぎるので、このへんにしますが、注意してほしいのはギリギリを攻めないこと。



高さ1,100mmの窓を選んだから、窓の床からの高さは900mmあるな



それなら、高さ900mmの収納家具が置けるな
こういう考え方はキケンです。
窓枠の高さもあるし、カーテンの高さもありますよね。



じゃあ、いったいどのくらいの高さの家具なら置いてもいいの?
ここでお伝えしている「窓の床からの高さ」から、250~300mmをマイナスした高さを目安にしてください。
たとえば、1,100mm高さの窓なら、床からの高さは900mm。
そこから250~300mmをマイナスすると、高さ600~650mmまでの家具がおけるということになります。





ずいぶん低い家具しか置けないんだな
このように思う場合は、カーテンではなく、ブラインドなどを窓枠の内側につけるなどすれば、マイナス100mm程度までOK。
1,100mm高さの窓で、高さ800mmまでの家具が置けるということになります。


これ以上ギリギリを攻めたい場合は、設計担当とよく相談して決めましょう。
ハウスメーカーオリジナル高さ
ここまでにお話してきた窓の高さや床からの高さは、リクシルやYKKapの純正品を使用した場合をベースに解説してきました。
ただ、ハウスメーカーのなかには、オリジナルの窓高さを設定しているところも。
たとえば、私が設計業務を請けているハウスメーカーでは、掃き出し窓の標準高さを2,060mmとして、室内ドアと高さがそろうようにしています。
腰高の窓も、1,167mmや922mmというオリジナルの高さを設定。
このような場合は、特に理由がない限り、素直にハウスメーカーのオリジナル高さを採用するのが吉です。



ハウスメーカーの標準高さを採用したほうが、コスト的にお得だよ
もちろん、切り詰めなどの特寸対応もしてもらえるはずですが、意外と大きな費用がかかります。
窓の床からの高さ|まとめ
窓の標準的な取り付け高さと、床からの高さを紹介してきましたが、どの窓も「絶対にこの標準高さでないとおかしい」ということにはなりません。
この記事で説明した標準高さや、床からの高さをベースに、以下のような検討をしてみてください。



もうちょっと高い方がいいな



もう少し低い方が開け閉めしやすそう
そうすることで、とんちんかんな高さに窓をつけてしまうという失敗は避けつつ、あなたの家にベストな窓高さが見つけられます。
また、ハウスメーカーの標準高さも必ず確認してください。
ハウスメーカーの規格サイズは、外せば外すほど割高になっていきます。
ベストな窓高さを見つけられますように。
応援しています。