半畳のシューズクロークは狭いから意味がない?
そう考えてシューズクロークをあきらめる施主がいますが、半畳でも便利に使っている人もたくさんいますよ。
私はリフォーム設計歴20年超えの一級建築士。
日常的に築5~50年の家に住む施主にお会いし、話を聞く機会があります。
その際、不満を聞かされることが多い場所の1つがシューズクローク。
シューズクロークは適切に造らないと使いにくく、不満が出やすい空間です。
たった半畳でも気を抜かず、あなたにとってベストなシューズクロークを造れるよう、おすすめのプランとそうでないプランを解説します。
さっそく、半畳のシューズクロークがどんな感じになるかをお見せしますが、その前に……

家づくりで後悔したくない人が、絶対に読むべき2記事を紹介するよ!
- 見落とすと即後悔につながる図面のチェックポイント
家づくりで後悔しないためには、施主も図面をしっかり確認することが絶対に必要。
設計者に任せきりにした結果、「こんなふうにできあがるなんて思わなかった」と後悔する施主がたくさんいます。


- 築古の家を700軒以上見て、リフォームしてきた一級建築士が教える「新築後のエグい後悔」。
家づくりの後悔には「取り返しのつかないレベル」のものがいくつかあります。
なかには、1千万円超えの負担を強いられる後悔も。
そんな震えるほどの後悔をしてしまわないために、この記事がめちゃくちゃ役立ちます。


半畳のシューズクロークを見てみよう
半畳のシューズクロークといっても言葉だけではピンとこないと思うので、図面や画像で確認していきましょう。


まずは、「半畳」という部屋がどんなサイズなのかを確認。




上の図面はツーバイフォー工法で作図しましたが、各工法における半畳部屋の内寸は以下です。
- 木造3.5寸柱→780×780mm
- 木造4寸柱→765×765 mm
- ツーバイフォー工法→796×796 mm
続いて、半畳に近いサイズで棚などを配置した事例を見ていきましょう。
- W750×D900mmプラン


- W765×D855mmプラン


- W750×D750mmプラン


- W750×D300mmプラン





思ったより半畳のシューズクロークって狭いな



半畳のシューズクロークでもあったほうがよさそう
あなたは、どう思いましたか?
半畳のシューズクロークがあると便利なこと
半畳のシューズクロークのサイズ感が確認できたので、次はシューズクロークを有効活用する方法について考えていきましょう。
まず、大前提から。
/
靴だけを収納したいなら、
半畳のシューズクロークは
おすすめしません!
\
よりたくさんの靴を収納したい人は、以下がおすすめです。
- 同じ半畳のスペースを使った横長のシューズクロークにする




正方形の半畳ではなく横長の半畳にしたほうが、靴の収納量はグッと増えます。
- 既製品のシューズボックスを使用する




靴だけを収納したいなら、正方形半畳のシューズクロークよりも上の2つの収納のほうが収納量は多いし、使い勝手も上です。



じゃあ、正方形半畳のシューズクロークは、どう使うのがおすすめなの?
それは、奥行きのあるものを収納すること。
- ベビーカー
- 宅配食品のケース
- ゴルフバッグ
このような、外部の物置には置きたくないけれど、家の中には入れたくないなものを収納するのがおすすめです。
どんなものを収納したらいいかをイメージするのにわかりやすい資料があったので、貼っておきますね。
↓ ↓ ↓







あれ?じゃあ、シューズクロークと言っても、メインに収納するのは靴じゃないんだね?
そう!そうなんです。
半畳のシューズクロークには靴以外の奥行きがあるものをメインに収納し、靴の収納はおまけ程度で考えるのがおすすめ。



それだと、靴が収納しきれなそうだな
そう思いますよね。
次は、このあたりのことをお話しします。
半畳のシューズクロークだけでは収納量が足りない
半畳のシューズクロークは、靴以外の奥行きがあるものをメインに収納すべきだとお話しました。
でも、そうすると、靴が収納しきれないという問題が起きます。
では、どうするか。



半畳シューズクロークの他に、ふだん使いの靴を収納するスペースを設けてください
既製品のシューズボックスでもいいし、靴用で奥行きの浅いシューズクロークをもう1つ造るのでもかまいません。








半畳のシューズクロークには靴以外のものをメインで収納するため、靴は奥か上部に収納せざるを得ません。
奥行きがある収納の欠点である、
「手前のものをどかさないと、奥のものが取り出せない」
という状態になりやすいのです。
そんな場所にふだん使いの靴を収納したら……、



毎日、靴の出し入れが面倒なんだけど



都度シューズクロークに靴をしまうのが面倒だから、玄関に脱ぎっぱなしにしてしまおう
こうなる未来しか見えません。



というか、そうなってしまっている家を私は何軒も知っているよ……
他に靴を収納するスペースが造れない場合は、半畳のシューズクロークを採用するかどうかからもう1度考えてみることをおすすめします。
半畳のシューズクローク《NGプラン》
半畳のシューズクロークを採用する場合、私が設計の仕事を20年以上しているプロとしてあまりおすすめしていないことが3つあります。


- 棚なし
- 変更できない収納計画
- 扉なし
棚なしのシューズクローク
半畳のシューズクロークに限らず、収納の打ち合わせをする際に施主からこう言われることがよくあります。
↓ ↓ ↓



棚などのこまかいことは今決められないから、後で自分でなんとかします



とりあえず、収納の中は「がらんどう」のままでいいです
家づくりは決めることがたくさんあるので、収納の内部のことまで頭が回らず、このように言う施主がいるのですが……
/
やっぱり、
棚も造ってもらっておけばよかった
\
こんなふうに後悔する施主が少なくありません。
理由は、収納内部にピッタリおさまる都合のいい商品を見つけることが困難だから。
さらに、棚板や棚柱を壁に固定するためには、下地が必要。
壁紙を張って仕上げてしまった後では、下地を入れることもできません。
気が利く設計者なら「下地だけでも入れておいた方がいいですよ」と提案してくれますが、忙しい設計者はそこまで気が回らないことも。
決めることだらけで疲れているとは思いますが、収納内部の計画も後回しにせず、最初からやっておくことを強くおすすめします。
自分で対応できず、後からハウスメーカーなどに依頼すると、だいぶ割高になることも頭に入れておいてください。
変更できない収納計画
これもシューズクロークに限った話ではないですが、ガッチガチに決め込んだ収納計画は、将来使いにくくなってしまうことがあります。
たとえば、
「ここにはベビーカーを入れる」
と決めて収納内部を造り込むと、
「ベビーカーではなく三輪車が入れたい」
「泥付きの野菜を置きたい」
このように、収納したいものが変わったときに無駄なスペースができたりして困るのです。
収納の内部は可動棚を使うなどして、変更できるようにするのがおすすめ。
扉なしのシューズクローク
これは賛否両論あるので反対意見が出そうですが、言います。
玄関から丸見えになるシューズクロークに扉をつけないプランは、おすすめしません。
たとえば、先にお見せしたこんな半畳のシューズクロークが、玄関ドアを開けて丸見えになるプラン。


この画像はキレイに整頓できているからいいですが、使用していくうちにどんどん見苦しい状態になっていきます。
そんなシューズクロークの内部が、扉のない状態で丸見えになっている……
しかも、家の顔である玄関で……
確かに費用のこともあるでしょう。
1本扉をつけなければ、10万円程度のコスト削減ができます。
でも、コストダウンする場所はここではないと私は思うのです。
インスタなどの投稿を見ていると、



扉なしで、コストダウンしたい



カーテンやロールスクリーンをつければいい
こんな意見ばかりですが、これらの意見を発信している人のほとんどが施主か、設計ではない営業職の人です。
私は設計を生業としているので、玄関の目立つ部分の扉にカーテンやロールスクリーンなどの材料を使うことには抵抗感があります。



一気にチープな印象になって、せっかくの戸建てなのに残念すぎる(>_<)
ただ、シューズクロークの出入口が玄関から死角になる位置なら話は別。
廊下の見えにくい部分や、寝室、各部屋の収納などの目立たない場所なら、扉なしやカーテン、ロールスクリーンでもまったく問題はありません。
半畳のシューズクローク《おすすめプラン》
半畳のシューズクロークでおすすめしないプランについてお話したので、ここではおすすめのプランを見ていきましょう。


おすすめのプランは、先ほどのおすすめしないプランを裏返しにしたものになります。




ポイントは以下。
- ふだん使い用の靴を収納する場所を別に設ける
- 最初から棚をつけておく
- 可動棚を使う
- 扉をつける
- シンプルな形状で、造りこまない
- 天井吊りのハンガーパイプをつけておく
- コンセントをつけておく
このプランをたたき台にして、あなたの収納したいものや使い勝手を考えながら、使いやすいように変更していってください。
半畳のシューズクローク|まとめ
半畳のシューズクロークは、よく考えて造ればめちゃくちゃ便利に使える収納です。
でも、他に靴を収納するスペースがなかったり、あまり考えずに棚などをつけてしまうと、ものすごく使いにくいシューズクロークに。
半畳しかないだけに、無駄なく計画することがポイントです。
とはいえ、あまりにガッチリ造りこんでしまい変更できないと、将来、収納したいものが変わったときに困る可能性が大。
可動棚にして、収納するものの変更に対応できることがマストです。
後悔のない半畳シューズクロークが計画できますように。
応援しています。