「寝室に窓はいらない」
「窓なしの寝室にしたい」
このような人が増えてきています。
でも、窓なしの寝室は「基本的に」NG。
さらに、一級建築士で住宅設計歴20年超えの私も、寝室に窓がいらないとは考えていません。
ただ、寝室に窓がいらないとひとことで言っても、

なにがなんでも、寝室を窓なしにしたいんだ



窓なしがいいと思うけれど、本当にそれでいいか迷っている
このように、いろんな考え方の人がいるでしょう。
そこで、この記事では窓なしの寝室が気になっているすべての人に役立つよう、以下の内容にわけて解説していきます。
- 寝室に窓はいらないから窓なしにしたい!がNGな理由
- どうしても寝室に窓がいらない人向け「窓なしにする裏ワザ」
- 寝室に窓はいらない、窓なしにしたい人がやってはいけない配置2つ
- 寝室に窓はいらない、窓なしにしたい人にベストな配置2つ
ぜひ、最後まで読んで、あなたにとってベストな寝室を作ってくださいね。



さっそく「寝室に窓がいらないから窓なしにしたい」がNGな理由をお話する前に、家づくりで後悔したくない人に必ず確認してほしい記事を2つ紹介させてください。
- 見落とすと即後悔につながる図面のチェックポイント
家づくりで後悔しないためには、施主も図面をしっかり確認することが絶対に必要。
設計者に任せきりにした結果、「こんなふうにできあがるなんて思わなかった」と後悔する施主がたくさんいます。


- 築古の家を700軒以上見て、リフォームしてきた一級建築士が教える「新築後のエグい後悔」。
家づくりの後悔には「取り返しのつかないレベル」のものがいくつかあります。
なかには、1千万円超えの負担を強いられる後悔も。
そんな震えるほどの後悔をしてしまわないために、この記事がめちゃくちゃ役立ちます。


寝室に窓はいらないから窓なしにしたい!がNGな理由
「寝室に窓はいらないから、窓なしにしたい」がNGな理由は、以下の2つです。
- 建築基準法
- 寝たきり生活が不快になる
建築基準法
「寝室に窓はいらないから、窓なしにしたい」がNGな理由、1つ目は建築基準法。
そもそも、寝室には窓をつけなければならないよう法律(建築基準法)で決められています。
人が長く滞在する部屋=居室には、採光や換気、排煙をするために窓が必要なのです。
しかも、ただ窓をつければいいわけではありません。
寝室の面積や窓の高さ、境界からの距離などによって、「最低限これ以上の大きさの窓が必要ですよ」ということも決められています。




画像にある窓の必要サイズは、特定の条件で試算したものです。各家の状況によって必要サイズが異なるので、必ずしも「6畳の部屋だから、0.47㎡以上の窓をつければOK」ということにはなりません。
このあたりをこれ以上詳しく説明しようとすると、ちょっと専門的で難しいのでここまでにしますが、寝室に窓なしは法規的にNG、さらに最低限のサイズも決められているということだけ頭に置いておいてください。
寝たきり生活が不快になる
「寝室に窓はいらないから窓なしにしたい」がNGな理由、2つ目は寝たきり生活が不快になること。
家づくりは「元気」を前提に進めるべきではありません。
病気やケガで寝たきりになることも、頭の片隅に置きながら家づくりをしていく必要があるのです。


寝たきりにまでならなくても、体調を崩し、寝室で過ごす時間が長くなることもあるでしょう。
そんなとき、窓なしの寝室では太陽光にあたることも、自然の風に触れることもできません。
日が入らないことによって湿気やカビの問題が起き、不快で不潔な空間になりやすいというデメリットも。
あなたは、そんな寝室で長時間過ごすことができますか?
どうしても寝室に窓がいらない人向け「窓なしにする裏ワザ」
「寝室に窓がいらない」という考えに対し、法規で決められていることと、私が反対していることをここまでにお話ししました。
それでも、



デメリットはじゅうぶんに理解したけれど、やっぱりどうしても窓なしの寝室にしたい
このような人もいるでしょう。
そこで、ここでは窓なしの寝室を合法でつくる裏ワザを2つ紹介します。
- 2室1室★おすすめ★
- 部屋名を納戸にする
窓なし寝室の裏ワザ①2室1室★おすすめ★
窓なし寝室の裏ワザ、1つ目は「2室1室」。



なにそれ?と思う人がほとんどだと思うので、説明するね
建築基準法には、2室を1室に見なしてくれる特例があります。
たとえば、こんな間取り。
↓ ↓ ↓


この間取りの場合、寝室とリビングの2室を1室として考えることができるため、採光や換気、排煙も、2室で満たせばOKです。
ただし、2室の堺は「障子やふすま等で仕切られている」が条件なので、ドアで仕切ることはできません。
この方法なら、堂々と寝室を窓なしにできるので、「どうしても」という人はこの方法がおすすめです。
窓なし寝室の裏ワザ②部屋名を変更する
窓なし寝室の裏ワザ、2つ目は部屋名を変更=(たとえば納戸)にすること。
人が長く滞在する室(居室)以外は、採光や換気、排煙の規定が対象外になります。
ですので、部屋名を「寝室」ではなく「納戸」とすれば、窓なしが可能。


マンションの間取り図などによく見かける「サービスルーム」という名の部屋も、同じ理屈です。
ただ、この裏ワザは先の2室1室と違い、大手をふるって使えるというものではありません。
どちらかというと、ちょっとズルく後ろめたい方法です。
たとえば、他に寝室がなく納戸ばかりの家が問題なく申請を通せるかというと、やっぱり難しいところがあります。
それに、家を売りに出す場合にも、3LDKが2LDKになるなどして不利。
できれば2室1室、どうしても無理なら納戸にするという考え方がいいと思います。
寝室に窓はいらない、窓なしにしたい人がやってはいけない配置2つ
「寝室に窓がいらない」という人が、採用してはいけない間取りを考えていきましょう。
寝室を窓なしにしたい理由は、以下である人がほとんどです。
- 寝室に太陽光が入るとまぶしい
- 窓があると断熱性能が下がる
このデメリットを増長するような、窓の配置をしてはいけないということになります。
では、どんな配置だと、窓ありのデメリットを増長してしまうのでしょうか。
それが以下2つの配置です。
- 枕元のすぐ上に窓
- ベッドの真横に窓
枕元のすぐ上に窓
「寝室に窓がいらない」という人が採用してはいけない配置、1つ目は枕元のすぐ上に窓。
ベッドのヘッドボード真上に窓があると、「まぶしい」というデメリットを強く感じることになります。




さらに、その窓にカーテンをかけると、頭のすぐ上でカーテンがヒラヒラとうっとおしい……。
「寝室に窓はいらない」と考えている人がこの配置にしたら、後悔すること間違いなしです。
ベッドの真横に窓
「寝室に窓がいらない」という人が採用してはいけない配置、2つ目はベッドの真横に窓。
ベッドの真横に窓がある配置も、あまりよろしくありません。
以下の配置では、先の「枕元のすぐ上に窓」同様に、まぶしさを強く感じます。


さらに、こんな配置もNG。


樹脂サッシやトリプルガラスなど、どんなに性能のいい窓を使っても窓は壁よりも断熱性能が低いので、窓の真横にベッドを置くと、外気の寒さ暑さをダイレクトに感じてしまうのです。
寝室に窓はいらない、窓なしにしたい人にベストな配置2つ
ここまでに、「寝室に窓はいらない」という人が採用してはいけない配置を見てきました。
では、窓なしの寝室にしたい人が採用すべき配置は、どんなものでしょうか。
それは、先ほどと逆の考え方をすればOK。
- 寝室に太陽光が入るとまぶしい
- 窓があると断熱性能が下がる
このデメリットを回避するような窓なら、あってもいいということになりますね。
↓ ↓ ↓
- まぶしくない
- 寒さ暑さを感じにくい
この2つを満たす配置が以下です。
- 高窓は寝室にピッタリ
- 枕元を避けた窓配置
高窓は寝室にピッタリ
「寝室に窓がいらない」という人が採用したい配置、1つ目は高窓を使ったもの。


高窓なら、枕元の真上に窓があってもまぶしくないし、カーテンをかけてもジャマになりません。


ただ、1つ注意があります。
それは、開け閉めのこと。
ベッドの上に上がらないと開け閉めできない窓では使いにくいので、オペレーター付きや電動のものを採用しましょう。


もちろん、カーテンも電動で開けられるようにするか、チェーンで開け閉めするシェードなどを採用してください。
枕元を避けた窓配置
「寝室に窓がいらない」という人が採用したい配置、2つ目は枕元を避けた窓配置。




こんな配置なら、「寝室に窓がいらない」という人でも、快適に過ごせるはず。
寝室に窓はいらない|まとめ
「寝室に窓はいらない」
「窓なしの寝室にしたい」
このような人にむけて、裏ワザや配置についてお話してきました。
プロである私は、法規や将来のことを考えれば、



寝室に窓はいらない



窓なしの寝室でもいいんじゃないか
このような考え方には反対です。
できれば、窓なしのデメリットであるまぶしさや寒さ暑さを回避しつつ、窓を設けてほしいと思っています。
もちろん、性能のいい窓やガラスにするのはマストです。
デメリットを理解したうえで、「それでも、やっぱり寝室に窓はいらないんだ」という人は、まずは2室1室の裏ワザを検討してみてください。
納戸にするのは最後の手段です。
あなたの寝室が、過ごしやすいものになりますように。