寝室を1階にした施主が後悔している内容で、もっとも多いものを5つ紹介します。
私は、一級建築士でリフォーム設計のプロ。
築5~50年の家を頻繁に訪問し、日常的に施主の話を聞いています。
1階に寝室を設けた施主も多く、そのなかには

1階に寝室なんてつくるんじゃなかった
このように後悔をしている人も。
この記事では、よくある1階寝室の後悔と、その解決策について、わかりやすく解説していきます。
家を建ててしまってから1階の寝室に後悔しても、解決するには大きな費用と労力が必要。
新築時からしっかり対策できるよう、記事を参考にしてもらえたら嬉しいです。
寝室を1階にした後悔をランキング形式で1位から紹介していきますが……、



その前に、家づくりで後悔したくない人に必ず読んでおいてほしい記事が2つあります!
- 見落とすと即後悔につながる図面のチェックポイント
家づくりで後悔しないためには、施主も図面をしっかり確認することが絶対に必要。
設計者に任せきりにした結果、「こんなふうにできあがるなんて思わなかった」と後悔する施主がたくさんいます。


- 築古の家を700軒以上見て、リフォームしてきた一級建築士が教える「新築後のエグい後悔」。
家づくりの後悔には「取り返しのつかないレベル」のものがいくつかあります。
なかには、1千万円超えの負担を強いられる後悔も。
そんな震えるほどの後悔をしてしまわないために、この記事がめちゃくちゃ役立ちます。


寝室を1階にした施主の後悔1位【寒い】
寝室を1階にした後悔で、もっとも多いのがこの「寒い」こと。


基本的に、家は階数が上がるほど室温が上がり、1階より2階、2階より3階のほうが暖かくなります。


それゆえ、1階の寝室は寒いのが最大のデメリット。
床下からの冷気で底冷えする1階の寝室に、



寝室が寒すぎる



あんまりにも寒くて、朝起きるのがツライ



こんなに寒いなら、寝室は2階にすればよかった
このように後悔する施主が少なくないのです。
1階の寝室が寒い原因は、床下からの冷気だけではありません。
法規の都合上、太陽光が入りにくい1階(平屋を除く)にはより大きな窓を設ける必要があり、その大きな窓から深々と寒さが入り込みます。
では、どうすれば寒い1階寝室に後悔しないで済むでしょうか。
解決策を見ていきましょう。
【後悔1位】寒い1階寝室の解決策
寒い1階寝室に後悔しないためには、以下の対策が必要です。
- 床下の断熱をしっかりする
- 高性能な窓を採用する
- 窓にベッドを寄せすぎない
床下の断熱をしっかりする
寒い1階寝室に後悔しないための解決策、1つ目は床下の断熱をしっかりすること。


これは1階に寝室がなくても対応してほしい項目ですが、一戸建て住宅の1階は断熱をしっかりしないと、本当に寒いです。
私が仕事でおじゃまする施主の家のなかには、床下に断熱材が入っていなかったり、5cmくらいの薄いものしか入っていないことがわりとよくあります。



とくに、築古の家に多いよ
最近の家は高気密高断熱なものが多いので、さすがに床断熱なしはないと思いたいですが、ハウスメーカーや工務店によってそのレベルはまちまち。
あなたの家にどんな床断熱を入れる予定なのかを、事前にしっかり確認しておきましょう。
追加費用を払ってでも、床断熱は手厚くしておくのが吉です。
高性能な窓を採用する
寒い1階寝室に後悔しないための解決策、2つ目は高性能な窓を採用すること。
これも、寝室に限った話ではないですが、寒さの原因の50%以上が窓です。


アルミ樹脂複合サッシ、または、樹脂サッシを選び、断熱性能の高いLow-Eガラスを採用しましょう。
断熱カーテンやハニカムシェードを使うのもおすすめです。


窓にベッドを寄せすぎない
寒い1階寝室に後悔しないための解決策、3つ目は窓にベッドを寄せすぎないこと。


いくらよい性能の窓を選んでも、壁と比べるとやっぱり窓は断熱性能が劣ります。
窓のすぐ近くにベッドを配置すると、睡眠時に寒いのです。
さらに、窓の取り付け高さが低く、ベッドの陰に隠れるような場合は、窓とベッドの間の換気が悪くなり、結露→カビ発生という悪循環も。


窓とベッドの距離(水平距離・高さ共)は、じゅうぶんに離しましょう。
寝室を1階にした施主の後悔2位【ふとん干し】
寝室を1階にした後悔で、2番目に多いのはふとん干し問題。
ふとんを抱えて1階の寝室と2階のバルコニーの間を、階段経由で上ったり下りたり。


/
なにかの罰ゲームですか?
\
というくらい、大変でキケンです。
どうしてもこんな動線になってしまうのなら、1階に寝室を配置するのはやめたほうがいいと、私は考えています。
【後悔2位】1階寝室×ふとん干しの解決策
1階寝室×ふとん干しに後悔しないためには、以下の対策が必要です。
- ふとん干しの場所を1階に確保する
- ふとん乾燥機をつかう
ふとん干しの場所を1階に確保する
1階寝室×ふとん干しに後悔しないための解決策、1つ目はふとんを干す場所を1階に確保すること。
庭に下りて干す以外にも、ふとんを干せるスペースはつくれます。
- ウッドデッキやテラス


- 1階バルコニー


- サンルーム


あなたの家に採用できそうなものはありましたか?
ふとん乾燥機をつかう
どうしても、1階にふとんを干すスペースがつくれない場合は、ふとん乾燥機の使用を検討しましょう。


1階にふとんを干すスペースが取れないけれど、どうしても天日干しがしたいんだという人は、残念ですが1階寝室はあきらめたほうがよさそう。
若いうちはふとんを抱えて苦労なく階段を上り下りできますが、歳をとってから必ず後悔することになると思います。
寝室を1階にした施主の後悔3位【うるさい】
寝室を1階にした後悔で3番目に多いのは音問題。
音問題には大きくわけて以下の2通りがあります。
- 家や家族から出る音
- 外部の音
家や家族から出る音
1階寝室の音問題、1つ目は家や家族から出る音。
- 人が眠る寝室の近くで、玄関を開け閉めする音がする


- 人が眠る寝室の近くで、風呂に入る音がする


- 人が眠る寝室のすぐ近くに、エアコンの室外機がある


- 人が眠る寝室の真上に、音を出す人がいる


どうしても、生活音は2階より1階寝室のほうが不利です。
外部の音
1階寝室の音問題、2つ目は外部の音。
車が走る音、バカ騒ぎする人の声、隣家の給湯器の音なども、1階を寝室にしていると気になります。
とくに、最近問題になっているのが、省エネ型温水器の音。


お湯を使うときだけでなく、常に、ブーーーンという音がなり続けるため、その音が原因で具合が悪くなったり、近隣とのトラブルに発展するケースが多発しています。
【後悔3位】うるさい1階寝室の解決策
うるさい1階寝室に後悔しないためには、以下の対策が必要です。
- 寝室の配置を考える
- 寝室の防音を考える
- 高性能な窓を選択する
寝室の配置を考える
うるさい1階寝室に後悔しないための解決策、1つ目は寝室の配置を考えること。
人が眠っている時間に音が出そうな空間、水廻りや玄関を、寝室に隣接して配置しないようにします。
部屋を隣にしないのが無理なら、収納をはさむのも1つの方法です。


また、寝室の真上に子供部屋を配置すると、キャスター付きの椅子を引く音、ユーチューブなどを聞く音が気になることも。
できれば、寝室の真上には、あまり音が出ない部屋を配置したいところです。
そうは言っても、



そんなこと言っても、間取り的に無理なんだけど
このような人も多いと思うので、そういう人は、次の対策を検討してみてください。
寝室の防音を考える
うるさい1階寝室に後悔しないための解決策、2つ目は建物の構造で防音の対策をすること。
音がでる空間と、寝室の間の壁や天井に防音のための断熱材や遮音材を入れ、音が伝わらないようにする対策です。



天井の組み方で、
家の構造によって防音の対策方法が異なるので、設計担当に「この空間からの音が気になりそうだから、対策はありませんか?」と確認してみましょう。
高性能な窓を選択する
うるさい1階寝室に後悔しないための解決策、3つ目は高性能な窓を採用すること。
これは、後悔1位の寒さ対策と同じです。
ちなみに、防音性能に関しては、ペアガラスやトリプルガラス、樹脂サッシを選択するよりも、2重サッシにしてしまうのが一番効果的。



ペアガラスと2重サッシの違いは、窓が1つか2つか。窓の開け閉めを2回ずつしなければならないのが、2重サッシだよ。




ちなみに、こんなおしゃれな商品もあります。




ただ、音に関しては後悔が本当に根強いので、「小さな音でも気になってしまう」という人には、私だったら1階寝室は提案しません。
寝室を1階にした施主の後悔4位【防犯】
寝室を1階にした後悔で、4番目に多いのは防犯問題。


防犯的に、1階寝室は2階寝室と比べて不利です。
2階寝室の場合は窓を全開にして眠る人もいますが、1階寝室の場合はシャッターを閉めるなどして、ガッツリ防犯対策をする必要があります。
【後悔4位】1階寝室×防犯の解決策
1階寝室×防犯に後悔しないためには、以下の対策が必要です。
- 適切なシャッターを選ぶ
- 面格子もぬかりなく
- 窓ガラスもぬかりなく
- センサーライトをつける
- セコムなどの警備システムを導入
適切なシャッターを選ぶ
1階寝室×防犯で後悔しないための解決策、1つ目は適切なシャッターを選ぶこと。
1階に寝室があろうがなかろうが、1階の窓(人が入ってしまいそうなサイズの窓)には、シャッターや面格子をつけて、ドロボウ対策をするのが一般的です。
ただ、1階を寝室にする場合に注意してほしいのが、窓を開けて寝たい人への対策。
2階寝室ならまだしも、1階でそれをすると防犯的にかなり危ないので、通風できるタイプのシャッターを選ぶなどの工夫が必要です。




ちょっと割高にはなりますが、シャッターを閉めても風が入るので、気持ちよく眠れますよ。
ただ、シャッターの種類によって防犯性能が異なるので、地域の治安状況やつける場所によって、どの程度の防犯性能のものをつけるかの検討が必要です。
面格子もぬかりなく
1階寝室×防犯で後悔しないための解決策、2つ目は適切な面格子を選ぶこと。
シャッター同様に、面格子の防犯性能も商品によって大きく異なることを知っていますか?
たとえば、こんな商品。
↓ ↓ ↓


面格子のように見えるけど、商品名は「目隠し可動ルーバー」です。
この商品は、ルーバー部分が結構簡単に外せてしまうので、なにもつけないよりは全然いいですが、次に紹介する面格子と比べるとだいぶ防犯性能が下です。


その名も、「高強度面格子」。
防犯性能の高い建物部品であることを示す「CPマーク」付きです。


ドロボウの多さや窓の位置によって、選ぶべき面格子が異なります。
よく検討してくださいね。
窓ガラスもぬかりなく
1階寝室×防犯で後悔しないための解決策、3つ目は適切な窓ガラスを選ぶこと。
ドロボウは、人が寝静まった夜だけに現れるわけではありません。



白昼堂々やってくるドロボウの話も、よく聞くよ
日中、人がいないことが多い寝室のシャッターが開いていると、ドロボウにとっては格好のチャンス。
窓ガラスをカット→クレセント(窓の鍵)を開けて、悠々と侵入できてしまうのです。
だから、窓ガラスにも気をつかいましょう。
ガラスとガラスの間に樹脂の膜が入った安全合わせガラスがおすすめ。


センサーライトをつける
1階寝室×防犯で後悔しないための解決策、4つ目はセンサーライト。
センサー付きのライトで、ドロボウを威嚇しましょう。




ドロボウ対策は、「なにがなんでも入れない家をつくる」のではなく、ドロボウに「この家、なんか面倒くさいな」と思わせることが大切。
入ろうとした家でセンサーライトにピカピカ威嚇されたら、「この家はやめよう」と思うはずです。
セコムなどの警備システムを導入
1階寝室×防犯で後悔しないための解決策、5つ目はセコムなどの警備システム。


リフォームの仕事をしていると、警備システムに入っている人が結構いるんだなと感じます。
費用はかかるけれど、大きな損害をうけたり、危害を加えられることを考えたら、警備システムを導入するほうが安心なんだそう。
ドロボウが多い地域や、位置的に狙われそうな場合は、検討してみては。
寝室を1階にした施主の後悔5位【コストアップ】
寝室を1階にした後悔で、5番目に多いのはコストの問題。
とくに、寝室だけでなくLDKも1階の場合は、浴室洗面も含め、ほぼ1階だけで生活できる間取りになるため、1階の床面積が増え、コストアップにつながるのです。


階段の上り下りをしなくても生活ができるので、歳をとってからすごく住みやすい間取りでおすすめですが、若いうちはそのありがたみがそれほど実感できず、「ずいぶん高くついちゃったな」と後悔する人がいるのです。
【後悔5位】1階寝室×コストアップの解決策
1階寝室×1階LDK×コストアップについては、将来的に必ず恩恵を受けるときがくるので、とくに解決策はありません。
LDKを2階にすれば、1階と2階の面積差が縮まり総二階に近くなるので、とくにコストアップするということはなくなります。
コストをとるか、将来の住みやすさをとるかで、よく考えてみてくださいね。
後悔しない1階の寝室はこうつくる
ここまでに1階寝室にした後悔と、その解決策についてお話ししてきました。
では、いったいどうしたら後悔しない1階寝室をつくることができるか。
ここまでの話をまとめながら、以下2つにわけてピックアップしていきます。
- 後悔しない1階の寝室
- 1階に寝室をつくると後悔する人
後悔しない1階の寝室
後悔しない1階の寝室は、以下を配慮してつくります。
- 床下の断熱を完璧に
- 高性能な窓(サッシ)とガラス
- ベッドと窓の間にじゅうぶんな距離
- ふとんを干す場所を1階に
- 玄関や水廻りからの音が聞こえない配置・対策
- 直上の部屋からの音が聞こえない配置・対策
- 二重サッシ
- 窓廻りにじゅうぶんな防犯性能
1階に寝室をつくると後悔する人
以下のような人は1階に寝室をつくると後悔するので、私だったらおすすめしません。
- 音に対して敏感な人
- 1階に寝室だけでなく、お風呂屋洗面、LDKも欲しいうえ、コストを抑えたいという人
どんな場合でも、なんの対策もしないまま1階に寝室をつくると、後悔する可能性が大。
逆に、多くの人が後悔しているポイントをしっかりおさえれば、とても過ごしやすく快適な1階寝室を作れます。
この記事を読んだあなたならきっとできるはず。
応援しています。