インターホンを門柱と玄関のどっちに設置しようか迷う施主が、意外とたくさんいます。

さらに、どっちかを選択した結果、「選ばなかった方に設置すればよかった」と後悔する施主も。
私はリフォーム設計のプロで、築5~50年の家におじゃまする機会が頻繁にあります。
その際、今インターホンが設置されている場所から、門柱や玄関に移動したいと相談されることがわりと多いのです。
でも。
残念ながら、門柱や玄関にインターホンを移動したいという要望は、諦めざるを得ないことがほとんどです。
理由は費用。

インターホンを門柱から玄関へ、または玄関から門柱に移動するのは、思いのほか工事が大掛かりになり、想像以上の費用がかかるのです。
ですので、新築時にインターホンを設置する場所はとても重要。
門柱と玄関のどっちがいいか—
この記事では、このようにインターホンを門柱と玄関のどっちに設置するかで迷っている施主に向け、リフォーム設計のプロが最適な選択を教えます。
この記事を読めば、迷うことなく安心して後悔のない選択ができますよ。
さっそく、インターホンを門柱につけるか玄関につけるかの結論をお話しますが、その前に……

家づくりで後悔したくない人に絶対読んでおいてほしい記事を2つ紹介するよ!
- 見落とすと即後悔につながる図面のチェックポイント
家づくりで後悔しないためには、施主も図面をしっかり確認することが絶対に必要。
設計者に任せきりにした結果、「こんなふうにできあがるなんて思わなかった」と後悔する施主がたくさんいます。


- 築古の家を700軒以上見て、リフォームしてきた一級建築士が教える「新築後のエグい後悔」。
家づくりの後悔には「取り返しのつかないレベル」のものがいくつかあります。
なかには、1千万円超えの負担を強いられる後悔も。
そんな震えるほどの後悔をしてしまわないために、この記事がめちゃくちゃ役立ちます。


インターホンは門柱?玄関?どっち?まず結論
インターホンは門柱と玄関のどっちが正解かの答えではなく、迷っているあなたがどうすべきかについて、最強の答えをここで教えます。
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迷うなら、
選ばなかった場所にも
配管だけしておいて!
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配管だけ?言っている意味がよくわからないんだけど
このような人もいると思うので、わかりやすく説明しますね。
まず、インターホンの基本的なことを少しだけお話させてください。


- 画像左の黒い機器=玄関子機
- 画像中央の白い機器=親機
- 画像右の白い機器=子機



たまに親機と子機を混同する人がいるから、間違えないようにね
画像をよーーく見ると、玄関子機と親機の間に「—2—」配線の記号がありますね。
この配線をするために、配管をしておいてほしいのです。



配管ってなに?配線とは違うの?
「配管」は電気の線を通すための筒のようなものです。




この配管をしておくことで、後から電気の線をめちゃくちゃラクに通せるようになります。



わかりにくいので、図解するね!


たとえば、よくあるこんな配置の家で、インターホンを門柱にするか玄関にするかで迷ったとします。
玄関子機と親機の間には配線が必要なので、玄関子機を門柱に設置した場合は、親機と門柱にある玄関子機との間に配線され、玄関には配線が行きません。


逆に、玄関子機を玄関に設置した場合は、門柱には配線が行きません。


未来永劫、選んだ場所から玄関子機を動かさないなら、この状態でもまったく問題なし。
問題になるのは、玄関子機の位置を門柱→玄関、または玄関→門柱に移動したくなったときです。
先にお話したように、選択しなかった場所には配線がありません。
コンクリートが打ち込まれた土間、キレイに仕上げられた玄関やポーチのタイル、門柱の一部、一部の内壁などを壊さないと、新しい配線を隠ぺいして施工することができないのです。
そこで、役立つのが先ほどお話した「配管」。







この筒が大活躍するよ!
この管を先に施工しておくことで、玄関タイルも門柱もこわさずに、スルッと配線を通すことができるのです。
しかも、この配管工事は新築時にやっておけば、たいした費用はかかりません。



後施工する費用の数十分の一くらいでできちゃうよ!
ということで、インターホンを門柱か玄関のどっちにするかで迷っている人は、両方に配管してしまいましょう。
そして、選んだ方にだけ配線してもらえばOK。
とはいえ、最初に玄関と門柱のどっちを選ぶかも迷うところだと思うので、次はそれについてお話します。
インターホンを門柱よりも、玄関に設置したほうがいい人
インターホンは門柱?玄関?
どっちを選んでも、選ばなかった方には配管がしてあるので、気楽に選んでいきましょう。
まずは、「門柱よりも玄関にインターホンを設置したほうがいい人」について。
玄関にインターホンを設置する場合は、以下の2通りが考えられます。
- 玄関にインターホン×表札とポストも玄関
- 玄関にインターホン×表札とポストは門柱
それぞれの特徴を見ていきましょう。
玄関にインターホン×表札とポストも玄関
玄関にインターホンも表札もポストも設置する組み合わせは、もっとも開放的な配置計画です。


「門柱をつくらない」という人も、自動的にこの組み合わせを選択することになります。
毎朝、新聞や郵便物を門柱まで取りに行く手間がなく、インターホンを押す人が雨の中待たされることもありません。
その反面、「門柱より先に他人が入る理由」を与えてしまうため、防犯面でもっとも劣る配置計画です。
ただ、オープンな外構の場合は、敷地内が外部からの目にさらされているため、防犯面でかなり優れています。
それゆえ、インターホン、表札、ポストが玄関にあっても、それほど防犯的に危なくならないことがほとんど。
逆に、高い塀や樹木に囲まれたクローズな外構でこの組み合わせを選択すると、防犯面でかなり劣るので注意しましょう。
ということで、玄関にインターホン、表札、ポストを設置した方がいいのは、こんな人です。
- オープンな外構を計画している人
- 雨の中、郵便物や新聞を門柱まで取りに行きたくない人
- 雨の中、インターホンを押す客人を待たせたくない人
玄関にインターホン×表札とポストは門柱
玄関にインターホンを設置する場合、表札とポストは門柱に設置するという組み合わせも考えられます。


門柱より先のエリアに入る他人は、インターホンを押す人だけになるので、先ほどの全部玄関に設置する組み合わせよりも防犯的に有利。
ただ、新聞や郵便物は門柱まで取りに行かなければならないので、それが面倒な人には不向きです。
ということで、玄関にインターホン、門柱に表札とポストを設置した方がいいのは、こんな人です。
- 門柱より先に入ってくる他人を、インターホンを押す用がある人に限定したい人
- 門柱まで新聞や郵便物を取りに行くのを苦にしない人
インターホンを玄関よりも、門柱に設置したほうがいい人
続いて、玄関よりも門柱にインターホンを設置したほうがいい人について。


門柱にインターホンを設置すると、基本的に、許可なく他人が門柱より先のエリアに入ることはありません。
と言うと……、以下のような反論をする人が必ずいます。



でも、門柱部分に施錠しているわけではないから、誰でも簡単に入れてしまうよね?
確かに、簡単に入れます。
でも、違うんです。
門柱にインターホンを設置=門柱より先のエリアに他人がいるのは異常事態
これが成り立つのです。
逆に、玄関にインターホンを設置した場合はどうでしょうか。
門柱より先のエリアに他人が入り込んでいても、
「これから、インターホンを押すかもしれない」
という理由付けができてしまいますよね。
この差は、心理的にすごく大きいです。
そして、インターホンを門柱に配置する場合は、表札とポストも自動的に門柱に設置することになります。


ですので、雨の中、新聞や郵便物を取りに行くのは必至。
ということで、門柱にインターホン、表札、ポストを設置した方がいいのは、こんな人です。
- 門柱より先に他人が入る理由を与えたくない人=防犯面を強くしたい人
- 門柱まで新聞や郵便物を取りに行くのを苦にしない人
ちなみに、こんな人はいませんか?



玄関にインターホンをつけるのは抵抗があるけれど、門柱まで新聞や郵便物を取りに行くのは面倒だなぁ
こんな人は、「門柱を玄関の近くにする」という方法もありますよ。


このくらいの距離の門柱なら、インターホンと表札、ポストをまとめて設置してもいいかなと思えませんか?
インターホンは門柱と玄関のどっちが正解?まとめ
インターホンは門柱と玄関のどっちにつけるのが正解ということはなく、どっちにも配管をしておくのが後悔しない最強の答えだとお話しました。
エイヤっとどちらかを選んで後悔するよりも、ほんのちょっぴり費用をかけて配管をしておくほうがずっと気楽で安心です。
そして、玄関と門柱の距離も検討のポイント。
あんまりにも玄関から離れた門柱にインターホンやポスト、表札があると、日々の生活に支障がでることがあります。
インターホンを門柱にするか玄関にするかだけでなく、外構計画全体で考え、より生活しやすい場所を検討してみてください。
ベストなインターホンの配置ができますように。