1.5畳のウォークインクローゼットは狭すぎるので、やめたほうがいいという意見をよく耳にします。
でも、本当にそれは万人に正解なのでしょうか。
リフォーム設計を本業とし、700件以上のリフォームを手掛けてきた私の答えはNO。
1.5畳のウォークインクローゼットでも、採用したほうがいいケースはあります。
この記事では、1.5畳のウォークインクローゼットの間取り例を4つ紹介。
それぞれの寸法を見ながら、どれくらいの収納量があるかを確認していきます。
そのうえで1.5畳のウォークインクローゼットを採用すべきケースと、やめたほうがいいケースについて、解説します。
まずは、1.5畳のウォークインクローゼットが、どんな広さなのかを見ていきましょう。
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1.5畳のウォークインクローゼットの広さを確認
1.5畳のウォークインクローゼットのサイズ感を、在来工法と2×4工法で見ていきましょう。
出入口や棚の配置は間取りパターンによって変わるので、1.5畳という部屋のサイズだけを見ていきます。
在来工法の1.5畳ウォークインクローゼット
内寸1,690mm×1,235mm。
「けっこう広いな」と思う人がいるかもしれませんが、ここに棚やパイプ、服が入るので、決して広くはありません。
2×4工法の1.5畳ウォークインクローゼット
在来工法と比べて2×4工法は壁が薄いので、部屋の内寸が少し広くなります。
部屋のサイズ感がわかったところで、4つの間取り例を見ていきましょう。
ウォークインクローゼット1.5畳×長辺入り
1.5畳のウォークインクローゼットの間取り例、1つ目は長辺側から出入りするウォークインタイプのもの。
きゅうくつ感がでてきましたね。
2×4工法で作図しているので、2×4工法の寸法(在来工法の寸法)で記載しています。
長辺側中央に出入口を設け、コの字型にパイプをつけました。
1.5畳のウォークインクローゼットの場合、このレイアウトがもっとも収納量が多く、トータルの収納長さは3,008(2,960)mm。
ここからの解説でも、( )内の寸法はすべて在来工法の寸法を示すよ
服の厚みは60~80mmなので、ざっくり37~50枚の服がかけられます。
ハンガーパイプを2段にすれば、単純にその倍の74~100枚の服がかけられることになりますね。
ただし、人が入るスペースはかなり狭め。
506(490)×651(635)mmの空間で、体を回しながら使うようになります。
人のスペースを広げるために、片側をボトムス用にしたり、棚にすれば、もう少しゆったり使えますよ。
収納量とゆったり感の優先度で決めましょう。
ウォークインクローゼット1.5畳×長辺入り×ウォークスルー
1.5畳のウォークインクローゼットの間取り例、2つ目は長辺側から出入りし、通り抜けられるタイプのもの。
長辺側中央に通路と出入口を設け、両側にパイプをつけています。
通り抜けられるようにした分、先のプランよりも収納量がダウン。
トータルの収納長さは2,502(2,470)mm、ざっくり31~41枚の服がかけられます。
パイプを2段にすれば、62~82枚。
通路幅は、先のプラン同様にかなり狭めです。
506(490)mm幅の通路なので、体格にもよりますが体を少し横にしながら通り抜けるようになります。
こちらも、通路幅を広げるために、片側をボトムス用にしたり、棚にすれば、もう少しゆったり使えますよ。
ウォークインクローゼット1.5畳×短辺入り
1.5畳のウォークインクローゼットの間取り例、3つ目は短辺側から出入りするウォークインタイプのもの。
短辺側の一部に出入口を設け、L字型にパイプをつけました。
1.5畳のウォークインクローゼットの場合、短辺に出入口があると収納量的に不利なことが図からわかりますね。
トータルの収納長さは2,357(2,325)mmで、ざっくり29~39枚の服がかけられます。
ハンガーパイプを2段にすれば、58~78枚です。
人が入るスペースは651(635)×1,106(1,090)mmの空間で、長辺入りと比べて少しゆったりします。
ウォークインクローゼット1.5畳×短辺入り×ウォークスルー
1.5畳のウォークインクローゼットの間取り例、4つ目は短辺側から出入りし、通り抜けられるタイプのもの。
短辺側の一部に通路と出入口を設け、片側にパイプをつけています。
通り抜けられるようにした分、さらに収納量がダウンしました。
1.5畳のウォークインクローゼットの場合、このレイアウトがもっとも収納量は少なく、トータルの収納長さは1,706(1,690)mm。
ざっくり21~28枚の服がかけられます。
パイプを2段にすれば、42~56枚。
通路幅は651(635)mmなので、長辺入りよりは少しだけゆったり通り抜けができます。
1.5畳のウォークインクローゼットを採用すべきケース
ここまでに1.5畳のウォークインクローゼットを4例見てきましたが、どのレイアウトも同じくらいよく採用されています。
ただ、1.5畳のウォークインクローゼットはかなり狭いので、レイアウトや収納量によっては採用すべきでないケースも。
まずは、「こう使うなら1.5畳でも採用したほうがいいよね」というケースを3つ見ていきましょう。
- 通り抜けたい
- 中で着替えたりする更衣室としても使いたい
- 服を掛けるだけでなく、納戸としても使いたい
通り抜けたい
1.5畳でもウォークインクローゼットを採用したほうがいいケース、1つ目は通り抜けたい場合。
通り抜けができるウォークインクローゼットは、いわば「廊下を有効に活用」したものです。
たとえば、廊下とクローゼットを別々に設けると、最低でも1,592.5mmの奥行が必要になります。
でも、通り抜けができるウォークインクローゼットなら1,365mmでOK。
間に壁や扉をつけない分、スペースを節約できるのです。
さすがに家のメイン通りに採用するのは考えものですが、裏動線にウォークインクローゼットを使うのはすごく使い勝手がいいのでおすすめ。
中で着替えたりする更衣室としても使いたい
1.5畳でもウォークインクローゼットを採用したほうがいいケース、2つ目は更衣室としても使いたい場合。
夫婦で1つの寝室を使う場合、奥様から「着替える場所がほしい」と要望されることがよくあります。
そんなときは、ウォークインクローゼットが更衣室としても使えて一石二鳥です。
服を掛けるだけでなく、納戸としても使いたい
1.5畳でもウォークインクローゼットを採用したほうがいいケース、3つ目は納戸としても使いたい場合。
ウォークインでないクローゼットタイプの収納だと、扇風機や加湿器、スーツケースなどの「ちょっと大きい」ものがしまいにくいもの。
でも、ウォークインクローゼットならもう少しラクに収納ができます。
とはいえ、1.5畳という狭さなので、大きなものをあれもこれも入れるわけにはいきませんが。
1.5畳のウォークインクローゼットはやめたほうがいいケース
続いて、1.5畳のウォークインクローゼットを採用するのは、やめておいたほうがケースについてお話します。
- 入れたいものが多すぎる
- 出入口の位置が悪く、収納量が少ない
- クローゼットを2つ設けたほうが有効に使える
入れたいものが多すぎる
1.5畳のウォークインクローゼットを採用するのはやめたほうがいいケース、1つ目は入れたいものが多すぎる場合。
1.5畳しかないのに夫婦の服をすべて収納しようとしたりすると、たいてい以下のような感想を口にします。
ウォークインクローゼットが狭すぎて使いにくい
ギッチギチにものが詰め込まれたウォークインクローゼットを見せられ、上のような相談を受けると、私はいつも心の中でこう思います。
狭いところにこんなにモノを突っ込んだら、使いにくいのは当たり前でしょ……
収納は適切な量を超えてモノを入れると、出し入れしにくく、使いにくくなります。
1.5畳のウォークインクローゼットには、せいぜい1人分の服しか収納できません。
家族全員で使いたいのなら、以下のように用途を限定して使いましょう。
- 日常的に使うコートだけを掛ける
- 家の中で着る服だけを掛ける
あれもこれも収納しようとせず厳選して収納すれば、1.5畳のウォークインクローゼットでもじゅうぶんに価値があります。
出入口の位置が悪く、収納量が少ない
1.5畳のウォークインクローゼットを採用するのはやめたほうがいいケース、2つ目は出入口の位置が悪く、収納量が少なすぎる場合。
1.5畳のウォークインクローゼット内のほとんどが通路になってしまい、1m以下の収納量しかありません。
この程度の収納量にしかならないのなら、ウォークインクローゼットにするメリットはほとんどなく、ふつうのクローゼットにしたほうが全然使いやすいし、収納量も多いです。
クローゼットを2つ設けたほうが有効に使える
1.5畳のウォークインクローゼットを採用するのはやめたほうがいいケース、3つ目はクローゼットを2つ設けたほうが実は使い勝手がいい場合。
たまに「ウォークインクローゼットにあこがれている」という施主がいます。
でも、いろんなところで言われているように、ウォークインクローゼットは人が入るスペースを必要とするため、クローゼットと比べると収納量の面では不利。
たとえば、同じ1.5畳をウォークインクローゼットとふつうのクローゼットにしてみましょう。
- 1.5畳のウォークインクローゼット
トータルの収納長さは、3,008(2,960)mmです。
- 1.5畳をクローゼット2つにする
トータルの収納長さは、3,412(3,380)mmです。
あれ?トータルの収納長さは、それほど変わらないね
そうなんです。
1.5畳で比べると、収納量は言うほど変わりません。
でも。
ウォークインクローゼットには、コーナーに使いにくい部分があるので、使いやすさではクローゼットのほうが上です。
ということで、単純に「あこがれているからウォークインクローゼットがほしい」という場合は、クローゼット2つのほうが使いやすいかどうかも検討してみてください。
もちろん、間取り的にどちらかしか選択できないケースもあるとは思いますが。
1.5畳のウォークインクローゼット|まとめ
1.5畳のウォークインクローゼットについて、間取りパターンと採用すべきか否かについてお話してきました。
「1.5畳だから、狭すぎてウォークインクローゼットにすべきではない」と考えるのではなく、クローゼットと比較してどちらが使いやすいかを考えてみてください。
ウォークインクローゼットにはウォークインクローゼットのいいところがあり、クローゼットにはクローゼットのいいところがあります。
使いやすい収納プランができますように。
応援しています。