シューズクロークと下駄箱の両方がないと使い勝手が悪く、困る間取りが2つあります。
このように言うと、以下のように考える人もいるでしょう。

せっかくシューズクロークをつくるのに、下駄箱も置くなんて
たしかに、シューズクロークだけに収納すれば、下駄箱のないスッキリした玄関になります。
でも、これからお話する2つの間取りは、シューズクロークと下駄箱の両方を設けないと、ものすごく使いにくいもの。
この間取りで下駄箱を設けないと、玄関が散らかってしまう可能性がとても高いのです。



リフォーム設計の仕事をしている私は、これまでにシューズクロークがあるのに散らかった玄関の家を何軒も見てきたよ
玄関をスッキリさせるために下駄箱を置きたくないのに、散らかってしまうのは本末転倒。
あなたの家の間取りは、シューズクロークと下駄箱の両方を必要とするものかどうか—
この記事で確認していきましょう。
さっそく、1つ目のシューズクロークと下駄箱が必要な間取りを解説する前に……



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家づくりの後悔には「取り返しのつかないレベル」のものがいくつかあります。
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そんな震えるほどの後悔をしてしまわないために、この記事がめちゃくちゃ役立ちます。


シューズクロークと下駄箱の両方が必要な間取り①通り抜けできない
シューズクロークと下駄箱の両方が必要な間取り、1つ目は通り抜けができないタイプのもの。


下駄箱の必要性を確認するために、この間取りの動線を外出時と帰宅時にわけて考えてみましょう。
- 外出時










この場合、サンダルはシューズクローク内に置いたままになるので、家族全員分のサンダルが必要になります。
続いて、帰宅時の動線を見ていきましょう。
- 帰宅時












今度はサンダルが玄関に置きっぱなしになります。



全員が家にいるときには、玄関に家族分のサンダルが置いてあることになるね


さて。
どう思いましたか?
面倒くさいと思いませんでしたか?
少しでも面倒くさそうだなぁと思った人は、玄関に靴を脱ぎっぱなしにする可能性が大です。
実際、シューズクロークをつくったのに、玄関に靴が散乱している家はたくさんあります。
悪いことは言いません。
シューズクロークの他に、ふだん使い用の靴を収納する下駄箱を設けましょう。



ふだん使いの靴を下駄箱にしまうのなら、シューズクロークには何を収納するの?
質問返しになりますが、下駄箱にないシューズクロークのメリットってなんだと思いますか?
それは、奥行きのあるものや、背の高いものがしまいやすいこと。
たとえば、ベビーカーやゴルフバッグ。
下駄箱には収納しにくいし、収納できてもすごく場所を使って他の物が入るスペースを圧迫します。
下駄箱よりもシューズクロークのほうが、このようなものの収納は得意なのです。
そして、ふだん使いしない靴も、シューズクロークに入れてしまいましょう。
- 冠婚葬祭用の靴
- 真夏のブーツ
- 真冬のビーチサンダル
- 長靴
- たまに履くスポーツ用の靴
持っている靴をチェックしてみると、ふだん使いでない靴も思ったよりたくさんあるはずです。
さらに、外の物置には収納できないけれど、家の中にも持ち込みたくないものもシューズクロークに収納できます。
- 宅食のケース
- 通販の段ボール
- 泥付きの野菜
- 箱買いした水
これまで私が見てきた700軒以上の家で収納量が足りず散らかっている場所のワースト、2カ所うちの1カ所が玄関です。



ちなみに、もう1カ所は洗面所だよ
玄関にはいくら収納があっても足りないくらい。
下駄箱とシューズクロークの両方を設けたからといって、収納が余るなんてことはほぼないと思います。
通り抜けできないシューズクロークは使い勝手が悪いけれど、通り抜けのためのスペースが必要ない分、収納量は多め。
使い勝手の悪さを下駄箱でカバーすれば、鬼に金棒の玄関になりますよ。
シューズクロークと下駄箱の両方が必要な間取り②収納量が足りない
シューズクロークと下駄箱の両方が必要な間取り、2つ目は収納量の足りないもの。
シューズクロークが通り抜けできたとしても、収納量が足りない場合は、下駄箱が必要です。
たとえば、1.5畳のシューズクロークで試算してみましょう。


靴を収納できるのはA面とD面になるので、それを横から見た図面(展開図といいます)を見てみます。
- A面


A面は床から天井までを靴の収納として使えます。
ただし、棚の左側はD面の棚が重なるので、靴の出し入れがしにくくなります。
さらに、D面に収納したベビーカーやゴルフバッグの陰になる部分も、出し入れがしにくいです。
靴の収納量を計算してみます。
部屋の内寸=幅なので、1251mm幅の棚が7段。



高さ300mmピッチで棚を入れると7段だけど、天井高にもよるよ
靴の幅を1足あたり250mmとして計算すると、1段あたり5足収納が可能。
床面も入れると収納可能なのは8段分なので、
5足×8段=40足
A面には靴が40足入ることがわかりました。
- D面


D面には、服を掛けるスペースを750mm、ベビーカー、ゴルフバッグを収納し、残りを靴の収納スペースにしています。
棚の幅は600mmなので、1段あたりの靴の収納量は2足。
2足×4段=8足
D面には8足の靴が収納できます。
- 靴の所有数1人あたり平均
A面+D面の収納量=48足ということがわかったので、今度は靴の所有数を考えましょう。
靴の所有数はめちゃくちゃ個人差があるので、今現在あなたと家族が持っている靴の数を参考に、収納量が足りるかどうかを考える必要があります。



ここでは平均値を使って試算していくね
靴の所有数の平均値は、1人あたり10足。
4人家族の場合、40足ということになります。
この場合、先のシューズクロークの収納量である48足より少ないので、下駄箱を別に設ける必要はなさそう。
とはいえ、大型の収納物、たとえば自転車や、スノーボードなどを収納するようになると、48足というリミットが一気にダウン。
そのときになってから下駄箱を新たに用意してもいいですが、新築当時からきちんと配置を計算して取り付けしたほうがキレイだし、費用も少なくすみます。
ちょっと長くなりましたが、ここで説明した手順であなたが予定しているシューズクロークと、収納したいもののバランスを考えてみてください。



考えたけど、シューズクロークにはおさまりきらなそう
こうなってしまった場合は、シューズクロークと下駄箱の両方を最初から計画しておきましょう。
シューズクロークと下駄箱を両方設けても、まったく無駄ではない
シューズクロークと下駄箱の両方を設けることに抵抗感を示す人は、少なくありません。
でも、シューズクロークがあるのに、後から下駄箱を追加する施主が意外と多いことを知っていますか?
たとえば、
- 玄関に物を飾るスペースがないから下駄箱が欲しいという人
- スリッパを収納する場所が欲しいから下駄箱が欲しいという人
- やっぱり、収納量が足りなくなってしまったから下駄箱が欲しいという人
理由はさまざまですが、シューズクロークと下駄箱の両方を設けて無駄になるケースは少なく、逆に追加するケースの方が圧倒的に多いのです。
床から天井までの大きな下駄箱でなく、もっとスッキリ見える商品がたくさんあります。








先に紹介したシューズクロークと下駄箱の両方がないと不便な2つの間取り以外でも、下駄箱を設けるかどうかは、検討する価値が大いにありますよ。
シューズクロークと下駄箱の両方が必要な間取り|まとめ
シューズクロークと下駄箱の両方が必要な間取りについてお話してきました。
あなたの家には下駄箱が必要でしたか?
もし、必要ないと判断した場合でも、後から下駄箱が設置できるスペースを確保しておくと安心。
「リフォームで間取りをガサッと変えないと、下駄箱が置けない」なんてことになると、多額の費用がかかってしまいます。
基本的に私はどんな間取りでも、シューズクロークと下駄箱の両方があっても無駄にならず、便利に使えると考えています。
迷っている人の参考になれば幸いです。